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   ●ドラッカー名言録

ドラッカー名言録19

必要は発明の母ではないが、助産婦である」

 

 「必要は(ネセシティ)は発明(インベンション)の母」という古来言い習わされた格言を、ややひねって「助産婦(ミッドワイフ)」とドラッカーが言い換えたものである。

この「ミッドワイフ」という英語は、「中間の妻」ではなくて、「ミッド=ともに、ワイフ=女性」からきているので、「女性とともにある人」という意味の言葉である。したがって、日本語でさらにくどくいうならば「産婆役、触媒、促進者」、そして最近の流行経営語に置き換えるならば、「ファシリテーター」ということができよう。さて、ドラッカーがこの名言の言い換えを、どういう文脈で発したかを調べると、その前言として、「技術変化の中で第一のダイナミックな要素で、かつ最も容易に認識されるものは、経済的な必要性と経済的な機会である」と述べているのがわかる。すなわち、必要だけでは技術革新は促進されず、そこに市場性、すなわちビジネスチャンスやオポチュニティが伴わなければいけないことをまず指摘している。これは、かねてからドラッカーが説いていることの一端を表している。さらに技術のみを先行させたり、技術への投資のみに溺れてしまったりすることも、ともに戒めているのである。

 技術についてドラッカーは、この必要性と機会のほかに、様々の含蓄に富んだ言葉を残している。もう一つよく語っているのは、例の強み論とも関係した次のような発言である。

 「人間は、原則的には自分が熟知している分野では、だいたい盲目的になっていることが多い」ということは、自分がよく知っていることは、ほかからのフィードバックが十分ないと、ほんとうの強みかどうかはわからない。よく知っているということは、だいたい検証されたことがなく、しかも実行できないことが多いという主張である。

 したがって本当に大きな進歩は、自分の内面からというよりも、他の分野での発展から生まれる。技術のダイナミクスも、自分自身の分野以外の知識からスタートすることが多いし、そのほうが実りやすいとするのである。この議論はまた、ドラッカーが口を酸っぱくして説く「表の風に当たれ!」の提唱にも結びついてくるのである。

 そして「新しい知識を体系的に探り、それが技術に変形された最初の兆候に目を光らせていれば、新しい技術を予測し得る」という重要な唱導にもつながるのである。戦略的計画化の第一歩は、「現在起きている事柄の未来性について、関連する人々がシステマティックに継続してトコトン考え抜いていくことである」との戦略論をめぐる提唱にもリンクしてくるのである。これを技術面に関していえば、ドラッカーは「テクノロジー・モニタリング(技術監視)」は、企業にとって絶対に必要な重要事項としている。しかも、それは予言ではなくて、新しい技術に関して千ミツか百イチぐらいしか当たらない確率に賭けることだといっている。そして特にモニターすべきは、「開発・発展途上の技術」、すなわち、すでにかなりのインパクトを与えており、十分に判定されており、評価されるだけのものを持っている技術に目をつけよとすすめている点にも着目したい。

 

  

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