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   ●ドラッカー名言録

 ドラッカー名言録24

  多角化する際には“気質”(テンペラント)も勘定にいれておけ

 

 かねてから、企業の「多角化・多様化・多元化(ダイバーシフィケーション)」については、M&A(合併吸収)の場合も含めて、議論がかまびすしくなされているところである。かつてドラッカーにこの多角化について尋ねたときに、それを成功させるには三原則がある、と語ってくれたことがある。

 第1の原則は、市場ベースからであれ、技術ベースに基づくものであれ、自分の企業が一定の市場で単なる限定供給者的な存在ではなくて、リーダーになれとまではいわないが、相当顕著な力量をつけ得ると考えられる場合にのみ、その市場へ出ていけということである。吹けば飛ぶような存在だったり、腰がふらついていたり、いい加減な計算で出てはならぬという戒めである。

 第二の原則は、読者もそろそろ耳にタコができたとお感じになるかもしれぬ「強み論」からの判断である。力の面で、強みの上に多角化を築けという主張である。自分の弱みをカバーしたり、影に隠すための多角化であってはならない。

 通常は、この二つのルールで終わるのだが、ドラッカーは「いや、実はもう一つある」といって提示したのが、今回の「気質(テンペラント)という要素をないがしろにすると失敗する」という意見である。

 実例として、欧米の場合、薬品会社が“隣接分野”だと考えやすい化粧品関係やトイレタリー関係が大きな成長市場だというので、よく出ていくが、どうもうまくいかなかったりする。また、進出していっても、時間がかかったり、いつまでもどっちでもいいようなマージナル(限界的な)な供給者にとどまっていることが多いことを挙げる。

 それはドラッカーによれば、薬品関係には化学や理学系の出身者が多く、そのテンペラントは大変真面目でシリアスな人間であるのに対して、逆に化粧品関係で成功している経営者の世界には、とにかく口紅の色ひとつですべてが変わることを信じて疑わないといった気質の人間が多いことによる。

 このように人間の気質の面で水と油であったり、万事の感触の違いを体質的・気質的に納得できない場合は、進出していっても、M&Aをかけても、経験原則からしてどうも冴えないことを指摘する。

 したがって、こうした際に、かなり成功している人物をようやく探し出してくると、「心からの惚れ込みとか敬意とかが存在」していたり、また、そうした方向に向く担当者がリーダーシップをとる場合に限るといえそうだとドラッカーはいう。

 自分がのめり込み、気に入り、惚れ込めないようなところには出るなというのが、このドラッカー第三原則なのである。

 

   

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